大原のオオムラサキを守る会

参考資料: フジバカマとアサギマダラ

 フジバカマの名前の由来

「藤色をした袴」の意味です。管状花(小さく分かれた花)から花柱が2本長く分岐して出ていて、その2本の花柱を袴に見立てたものが名前の由来です。

 分布と特徴

本州・四国・九州、朝鮮、中国に分布しています。8~10月に淡い紫紅色の小さな花をつけ、花を観賞するだけでなく芳香剤として、万葉の昔から親しまれてきました。

生草のままではほとんど無香ですが、やや乾燥すると桜餅の葉のような良い香りを放ちます。

かつては日本各地の河原などに群生していましたが、今は減少して環境省のレッドリストでは「準絶滅危惧種(NT)」に指定されています。

「フジバカマ」と称する植物が観賞用として園芸店で入手できますが、ほとんどの場合は本種ではなく、同属他種または本種との雑種です。

「朱雀の庭」のフジバカマは、西京区大原野で発見された原種を栽培・繁殖させてもので、大変貴重です。

 文学中のフジバカマ

古来より多くの歌が詠まれている中で、代表的な3首を紹介します。

「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」 

山上憶良・万葉集

「やどりせし ひとのかたみか 藤袴 わすられがたき 香ににほいつつ」

 紀貫之・古今和歌集

「おなじ野の露にやつるゝ藤袴あはれはかけよかことばかりも」 

紫式部・源氏物語

 アサギマダラの訪花植物としてのフジバカマ

秋季、移動中のアサギマダラはフジバカマの花に強い嗜好性を示します。この理由は次のように考えられています。

フジバカマなどのアサギマダラが好んで集まる植物には、ピロリジジンアルカイド(PA)という特殊な化学物質が多く含まれていて、PAを体内に取り込むために好んで訪花するものと考えられます。

取り込んだPAは自らの防御物質や、雄の性フェロモンの原料として利用されていると考えられています。したがってフジバカマにやってくるアサギマダラは圧倒的に雄が多いのです。

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