これらの小さな天敵によるオオムラサキの死亡は当初思っていたよりも多かったため、その対策として、2019年に目の細かい防虫ネットで第2網室を設置し、2021年にはこれまでの網室も細かい目に張り替えました(左図)。その結果、幼虫の死亡が激減し、2022年の冬は千頭以上の越冬幼虫を見つけることができました。
しかし、網室の目を細かくするのはいいことだけではありません。網室内の風通しが悪くなり、日射量が少なくなります。これによりエノキワタアブラムシの大発生や食樹であるエノキの成長障害が生じます。 私 たちはオオムラサキが飛び交う大原の里の再来を願って活動していますが、このように人為的な保護活動には限界があります。網室での飼育活動に並行して、成虫が吸蜜できるクヌギや幼虫が葉を食べるエノキがある雑木林の復活も大切と考えています。