大原のオオムラサキを守る会

参考資料: オオムラサキの天敵と飼育網室

 オオムラサキの保護活動は天敵(死亡原因となる他の生物)との闘い

 オオムラサキにはさまざまな天敵がいますが、私たちが最も恐れたのは鳥です。幼虫が鳥たちに見つかると、何度もやって来て根こそぎ食べられてしまう恐れがあります。このような鳥に対しての保護を目的に作られたのが初代の飼育網室です。

  この網室は鳥に対して大いに効果があったのですが、1㎝程の網の目から鳥以外の多くの小さな天敵が入ってきて、それらによる死亡も少なくないということがわかってきました。その中で最も恐ろしいのはアシナガバチです

ほかにもアマガエル、クモ(左図)、アリ(左図)、ヒラタアブの幼虫、カマキリなどがオオムラサキの幼虫を襲います。

また、アオムシコバチやキアシブトコバチ(左図)などは幼虫や蛹の体内に卵を産んで、体の中から食い殺してしまいます。

 飼育網室の改良と課題

 これらの小さな天敵によるオオムラサキの死亡は当初思っていたよりも多かったため、その対策として、2019年に目の細かい防虫ネットで第2網室を設置し、2021年にはこれまでの網室も細かい目に張り替えました(左)。その結果、幼虫の死亡が激減し、2022年の冬は千頭以上の越冬幼虫を見つけることができました。

しかし、網室の目を細かくするのはいいことだけではありません。網室内の風通しが悪くなり、日射量が少なくなります。これによりエノキワタアブラムシの大発生や食樹であるエノキの成長障害が生じます。  たちはオオムラサキが飛び交う大原の里の再来を願って活動していますが、このように人為的な保護活動には限界があります。網室での飼育活動に並行して、成虫が吸蜜できるクヌギや幼虫が葉を食べるエノキがある雑木林の復活も大切と考えています。

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